世間でいうお正月の期間に休みがあまり入っていなかった代わりか、今日から3連休。
希望した休みではないので、さて何をしよう?と思った昨晩思い出したのは、一昨年前の12月に急逝した中村勘三郎のドキュメンタリー映画のこと。
勘九郎時代から追っ掛けていた大好きな役者さんだったから、亡くなった時もしばらく悲しくて仕方無くて、1年経っても映像を見れば涙が出てくるこんな状態で劇場へ行って大丈夫かな。。。
そうは言っても公開が明日までと知っては、観に行かないワケにはいかなかいような。
とりあえず夜更かしして寝たら、今朝絶妙~な時間にクロネコおにーさんに起こされて、夜半から降っていた雨が止んだ頃にうちを出て一路、東銀座へ。
『映画 中村勘三郎』を上映している東劇は劇場がひとつなので、同じ時間に来ている客は皆同じ映画を観に来ている。
予想通りの年齢層の高さで発券所からぷち混雑(笑)劇場の待合室へ行くと、自分明らかに場違いですか?というくらいで、座席は半分くらいしか埋まっていないが女性率100%。
上映前はワイワイ賑やかでちょっと心配だったけれども、始まった途端にしーん、と静まり返り、時々鼻を啜る音しかしなかった。
自分も、オープニングの夏祭浪花鑑の団七の後ろ姿でもう涙がボロボロ。
まだこんなに泣けるってことは本当に好きだったんだなぁ、と。
好き、と言っても、恋とか愛とかではなくて、もっともっと芝居を見たかったという渇望のような、尊敬にも近い感情。
そこからまだ元気だった勘三郎襲名披露前からの映像になって少し気持ちを落ち着かせることが出来た。
2004年から時を追って撮影された映像を見ていると、病人を見慣れた目には体調を崩し始めてからどんどん弱っていく様が分かって、段々こちらもツラくなってきた。
しかし本当に体調を崩してからの映像は無し。死に顔も無し。芝居に打ち込んできた姿だけできれいにまとめて、幕引きはあっきり。
これが良かった。
亡くなった当日に中村屋最古参の小山三さん(当時は93歳?)がタオルを顔に押し当てて嗚咽を漏らしていた様子だけで、中村屋ファンにはもう充分すぎるくらい。
そこで少しだけ時が遡って元気な頃の姿が映し出され、エンドロールでここ数年出演した演目のダイジェストがまさしく走馬灯のように流れ、最後はプライベートな時の笑顔。
や~、泣いた。泣かされた。なんで死んじゃったんだよぅ。。
仕事柄、人の死には慣れているように思われるけれどそれは仕事の時だけで、悲しいものはやっぱり悲しい。
でもこのドキュメンタリーを観たことで、踏ん切りがついた気がする。
歌舞伎の楽しさを教えてくれた勘三郎丈、ありがとう。そして、さようなら。
これからも何だかんだ云いながら歌舞伎を観ていこうと思った。