1月10日は半蔵門にある国立劇場の大劇場まで、歌舞伎を観に。
今年初めての芝居見物は尾上菊五郎・菊之助が出演する『三千両初春駒曳』という通し狂言。
歌舞伎の演目のことを「狂言」と呼び、大概の歌舞伎公演では1本の長~い狂言のうちの見せ場ワンシーン(=一幕)だけを幾つか合わせて演じて見せるのだが、「通し狂言」とは1本の話を最初から最後まで通して演じてみせることを云う。
今回の演目も見せ場の一幕だけは度々演じられているものの、1本の狂言として演じられることが無いままだった作品を、今回菊五郎丈と国立劇場文芸部が協力して復活させたものだそうで、実に150年振りの公演だとか。
今生きている誰も観たことが無い演目と聞けば歌舞伎好きはワクワクと、前から3列目の席も取れたし!と出掛けてみた。
劇場は外も中もお正月の飾り付けで華やか。
伊勢海老のレプリカどーんっ!の大鏡餅もあり。
午年だけに馬に因んだ演目だからか、開演前の緞帳の前には細工物の馬があった。
多分後ろの席から見れば幕に描いてあるように見えるだろうけれど、ワイヤー2本で吊してある。
この馬が金の紙吹雪が舞う中を天へ駆け上っていくオープニングから、幕間(まくあい、と読む)3回含め約4時間の話。
朝鮮の姫は海岸に流れついた日本人に恋して海を渡って来てしまうし、小田家(=織田信長の織田家がモデル)が本能寺の変の後で後継者問題でゴタゴタしているところにこの姫も絡んで、悪役と悪役の子(←自分はそうとは知らずに敵対勢力の元家来になっている)だの、小田家の息子は放蕩者だったり、と、きちんと話に着いて行ければ荒唐無稽で痛快は話。
だけどれも、設定が複雑で1人の役者が何役も演じるから、そこら辺を見失うと何がなにやらになるらしい(・・・と、後ろの席の年配夫婦が混乱しながら話していた。イヤホンガイドも聞き取りづらかったみたいで)。
展開がスローなのと、釣り天井(宇都宮城の釣り天井事件がモデル)や船、馬、2階建ての建物等大仕掛けが多かった割りにサプライズ感が弱かったりしたが概ね面白く、楽しめた。
変だったのは客の方で、役者が出てきても拍手が疎ら。大向こう(=「○○屋っ!!」と声を掛ける方達)は渋めの良い声だったが、見得の決めポーズの時も拍手が弱い。
そもそも客席が1階こそそこそこ埋まっているが、2階はガラガラ。チケットが取れなくて取れなくて、四苦八苦したあのブームの頃とは大違い。
良い芝居だったのにな~これじゃあ残念!
前方の席だったのに役者が舞台から投げる御祝儀も飛んでこず、ちょっぴり寂しい初歌舞伎だった。
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