最近、特に疲れている。
激務に加え休みが少なくて、旅すら出来ない。
旅する為に働いているようなものなので、これは相当キツい状態。
なので逃避行動として文章を書く。
今まではブログだけだったけど、最近は小説らしきものを書いて
いるので時間も体力も消費する。
でもそれで得る疲労は仕事による疲労と違って、清々しい。
例え書いてるのがやおいでもね(^-^;
疲れている時に書く文章は尖っている。
ブログでも小説でも。
精神(こころ)の余裕の無さが出てしまう。
逆に云えば、書けば自分の疲労度が解る。
最近、イタい話ばかり書いてしまうので、相当疲れているんだろう。
これではダメだ!と思った時、取り出して読む本が何冊かある。
読む事で精神が解される本。。
こういう本に出会えた時は嬉しい。
いかにも癒し系、という本は苦手である。
いかにもな和み系ハウツー本も苦手である。
何気なく手に取った本に癒されて、お気に入りの1冊になった時が
一番嬉しい。
『きみの住む星』(池澤夏樹;文化出版社)はそんな1冊。
B6版の小さくて薄い、一見詩集のような美しい装丁の本。
内容はエルンスト・ハースの美しい写真と、池澤夏樹が書く手紙
で構成される。
世界を放浪する男から、残してきた恋人にあてた手紙。
こう聞くと甘い内容を想像するが、その大半は今訪れている場所
やそこであった事、知った事の報告で、本当にまるで旅先から送
る絵葉書みたいにあっさりしている。
でも時に切なく、時に迷い、時に思い遣る。
その適度に距離感がある文章が心地良い。
旅立ちから半ばを過ぎ、お終いに近付くに従って、手紙を出す側
の感情が徐々に変化していくのが伝わってくる。
さらっとした短い文章でこれを表現するのは難しい。
流石は池澤夏樹。
こういう文章をいつか書いてみたい。。と思う。
これは少し前に発売された本(初版1992年。2006年現在19刷)
で発売当時からず~っと気にしてはいたが、何故かなかなか買わ
ずにいた。
それでも繰り返し繰り返し目の前に現れるので(意識しないで
本屋の棚を見た時に偶然そこにある、という事が何回もあった)、
今年2月に伊勢志摩を旅する時に持って行く本として購入した。
名古屋へ向かう新幹線に乗ってページを開いた時から始まって
2泊3日の旅が終わるまで、この本ばかりを眺めていた。
きっとこの本はこの旅の為の本だったんだろう。。
全くもって自分勝手な解釈だけど(笑)、こういう出会いは本当に
嬉しい。
写真を眺めるだけでも心が安らぐから、字を読みたくない程疲れ
切った時にも時々引っ張り出して眺めてしまう。
とても美しくて優しくて。。
もしかしたら現在一番お気に入りの本かもしれない。
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