今年もコクーン歌舞伎の時期が来て。
初春の頃に平成中村座で告知されてから徐々に全貌が明らかになるにつれ。。
不安>>>期待になってきた。
その理由とは。
宮藤官九郎が脚本で、勘三郎も橋之助も彌十郎も出演しない。
歌舞伎役者が殆ど若手な代わりに、現代劇の俳優がずらりと名を連ねている。
だが淡路屋こと笹野高史は出ない。
現代劇版は数年前の桜姫で懲りたので、あのノリだったらどうしよう。
チケ代はしっかり歌舞伎公演値段なのにガッカリする芝居だったら後悔しそう。。
などと悩みつつ結局二回目公演からの皆勤賞を更新すべくチケット確保。
楽日前日のめちゃめちゃ良い席だから芝居が ピー!(※自主規制) でも役者が間近に見れるからいいか。
。。この「皆勤賞を狙ってのチケ取ったの」とは本当は云い訳で。
実はこの話『五十三次天日坊』は慶応三年以降一度もかかっていない、百四十五年ぶりの上演となる幻の芝居だと聞き河竹黙阿弥の作となれば、観ておかなくては!という気になった。
今生きている誰も見たことが無い歌舞伎。
う~ん。
不安>期待、ぐらいにはなってきた。。かな(笑)
そして今日、昼の部を観に渋谷東急Bunkamuraへ。
シアターコクーン前に着いて最初に驚いたのは、コクーン歌舞伎恒例だった役者名が書かれた色とりどりの幟が全く立っていなかったこと。
この公演が始まって以来初めてなので、寂しいと云うか侘びしいと云うか。。
客層も半分以上が若いお嬢さん達で、和装できっちりお洒落して来ている方や年配者は少ない。
そして肝心の公演は、確かに新しく面白かったが。。
以下詳細。
クドカンの脚本はウケようという意図が見え見えの台詞とわざとらしい若者言葉ややりとりがクドかった。後半は良かったが、前半の「マジで?!」の繰り返しは客席から「しつこい!」の声も上がるほど。
若手の歌舞伎役者達は頑張っていたけれど、実力派現代劇俳優達の方が上手い。
勘九郎の芝居は勘三郎に似過ぎている。声が似ているのは親子だから仕方ないとしても、演技にもう少し個性が出ると良い。
七之助の女形の悪党はいつも同じような印象。弁天小僧然り、お嬢吉三然り。役によって演じ分けが出来るようになると一皮剥ける気がする。美しいだけにとても惜しい。
獅堂は上手くなった。もう少し若い頃は力み過ぎて役を掴み損ねている印象が強い芝居をしていた記憶がある。まだ力み気味ではあるから、今後に期待。
白井晃と近藤公園の主従コンビ、坂東巳之助と坂東新悟のバカップルがとても良かった。
あと、片岡亀蔵丈の演技力にまたまた惚れ直した(笑)
上座音楽を使わないでトランペットメインのBGMは予想より違和感が無くて良かったし、場の名が一々書いてある背景は解りやすかったし、ほぼ現代語で現代的所作だから歌舞伎初めての人にも優しかっただろう。
けれどこれは歌舞伎ではないな。
云わば歌舞伎の原作や体裁だけ借りた「KABUKI風」の舞台。。だよね。
外に幟を立てなかった理由まで深読みする気はないけれど、チケット代1万円以上はちと高いな、と感じたのは事実。
あくまで個人的感想ですが、と断っておく。
スタンディングオベーションを獅堂に煽られ立ち上がったのはいいが周囲の熱狂に冷めてぼんやり見ていたダブルアンコールで、巳之助&新悟がテーマ曲に合わせてダンスしていたのが仲良さそうで楽しそうで可愛くてほんわり癒やされた。
おまけ。
コクーン茶屋(劇場内売店)の抹茶オレ。
この量で400円は高いな。。と思ったけど劇場内の湿度が異様に高くて蒸し暑いせいかノドが渇いて渇いて。甘過ぎず美味しかったから幕間に一気飲み。
そして毎年同じ状態で同じようなことをしてると思い出すのであった。
コクーンって空調悪くない?
来年こそ冷たい飲み物買ってから入場しよう。
。。また来年来るのであれば、ね。
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